髪をいたわる
シルクという選択

専門家と考える、髪の構造と眠っている間の摩擦

佐藤 洋平

エビデンスコンサルタント 佐藤 洋平さとう ようへい

博士(医学)。オフィスワンダリングマインド代表。医学・脳科学・生理学などの研究を読み解き、健康・美容・睡眠に関する科学的根拠をわかりやすく解説。企業の研究開発支援も行う。

劉 学明

Utukky代表・シルクマイスター 劉 学明りゅう がくめい

シルク素材の商品開発を専門とする経営者。シルクの低摩擦・保湿機能による髪・肌ケアに関心を持ち、医学博士との共同考察を通じ、素材の効能を科学的な視点から研究しています。

寝ている間、髪には何が起きている?

劉 学明:

シルクは、肌や髪に触れたときのなめらかさが魅力の素材です。枕カバーにも使われていますが、そもそも寝ている間、髪はどんなふうにこすれているんでしょうか?

佐藤 洋平:

髪の表面にはキューティクルという薄い層が、うろこのように重なっています。
この重なりに沿ってこするのと、逆向きにこするのとでは、
摩擦の起き方が違うんですね[1]。
寝返りのたびに髪が枕に触れる方向は変わりますから、
眠っている間の摩擦も無視できないんです。

劉 学明:

髪が触れる素材だけでなく、こすれる向きによっても違いが出るんですね。

寝返りによって髪と枕が接触し、摩擦が生じる様子。矢印は寝返りの方向と髪と枕の接触箇所を示します。
図1|寝返りによって、髪と枕の間に摩擦が生じます(模式図)。

髪のダメージを「増やさない」という考え方

劉 学明:

シルクの良さをお伝えするときも、まず髪そのものの性質をきちんと知っていただきたいと思っています。そもそも、一度傷んだ髪は元に戻るのでしょうか?

佐藤 洋平:

髪は、皮膚のように自分で傷を修復することはできません。
トリートメントなどで表面の状態を整えることはできますが、
傷む前の状態に自然に戻るわけではないんです。
だから「傷んでからケアする」だけでなく、
毎日の摩擦などをできるだけ減らすという発想が大切になります。

劉 学明:

何かを足すケアだけではなく、普段から負担をかけすぎないことも大事なんですね。

毛幹の表面を覆うキューティクルの模式図。拡大部分にうろこ状の重なりを示しています。
図2|髪の表面は、キューティクルで覆われています(模式図)。

年齢によって、髪の扱い方も変わる?

劉 学明:

長く使うものだからこそ、年齢による髪の変化も気になります。年齢を重ねると、摩擦の影響も受けやすくなるのでしょうか?

佐藤 洋平:

加齢に伴い、髪の太さや密度などが変わることが知られています[2]。
日本人女性の毛髪を調べた研究では、キューティクルが刺激に弱くなり、
40〜50代で変化が目立つことも報告されています[3]。
すべての方が同じ変化をするわけではありませんが、
日々の扱い方を見直すきっかけにはなると思います。

シルク枕カバーをどう位置づける?

劉 学明:

シルクはカイコの繭からとれる天然のタンパク質繊維で、しなやかでなめらかな生地に仕上げられます。私たちは、こうした素材の特長を枕カバーやナイトキャップに生かしています。科学的には、どう考えればいいでしょうか?

佐藤 洋平:

まず、寝具との摩擦に目を向けること自体は合理的だと思います。
米国皮膚科学会も、くせ毛の方への助言として、シルクやサテンの枕カバー、
ナイトキャップを紹介しています[4]。
一方で、特定のシルク製品によって切れ毛や枝毛がどの程度減るかは、
十分な臨床研究があるとはいえません。
素材の特長と、製品の効果が実証されたかどうかは分けて伝えたいですね。

劉 学明:

そこは大事ですね。シルクの心地よさをお伝えしながら、効果については誇張せず、納得して選んでいただけるようにしたいです。

毎日の暮らしに、無理なく取り入れる

劉 学明:

忙しい方にとって、毎日ケアを一つ増やすのは大変です。その点、枕カバーならいつもの寝具を替えるだけで取り入れられます。

佐藤 洋平:

そうですね。
髪のことを考えるとき、シャンプーやトリートメントだけでなく、
何時間も髪が触れている寝具にも目を向けてみる。
そういった取り入れ方もいいと思います。

劉 学明:

ありがとうございます。Utukkyとしても、素材の魅力と、日々使いやすいことの両方を大切にしていきたいですね。

この対話のまとめ

  • 傷んだ髪は、自然には元に戻らない

    トリートメントで手触りはよくなっても、傷む前の状態に戻るわけではありません。年齢とともに髪の状態も変わるため、普段から傷めないようにすることが大切です。

  • 寝ている間も、髪はこすれている

    寝返りを打つたびに、髪は枕とこすれています。日中のヘアケアには気を使っていても、眠っている間のことは意外と見落としがちです。

  • 枕カバーの生地にも、ちょっとこだわってみる

    シャンプーやトリートメントはよく選ぶのに、枕カバーは何となく使っている。そんな方も多いのではないでしょうか。シルクのなめらかな肌ざわりにも注目してみてください。

参考文献

  1. [1]Weiand E, Rodriguez-Ropero F, Roiter Y, et al. Understanding and controlling the friction of human hair. Advances in Colloid and Interface Science. 2025;345:103580. https://doi.org/10.1016/j.cis.2025.103580
  2. [2]Turner GA, Bhogal RK. Hair and aging. Skinmed. 2016;14(5):338–343. PMID: 27871344.
  3. [3]Takahashi T, Mamada A, Breakspear S, et al. Age-dependent changes in damage processes of hair cuticle. Journal of Cosmetic Dermatology. 2015;14(1):2–8. https://doi.org/10.1111/jocd.12129
  4. [4]American Academy of Dermatology Association. 6 curly hair tips from dermatologists. June 30, 2022. https://www.aad.org/news/6-curly-hair-tips-from-dermatologists

※参考文献は毛髪に関する研究・一般的なケア情報です。Utukky製品の効果や、学会による製品推奨を示すものではありません。

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